【2020年】社労士試験、法改正まとめ!私の勉強方法も紹介。
2020年の社労士試験に関する法改正について知りたい。
重要な法改正を一通り勉強してみたい。
本日はこんな悩みを持つ方向けに記事を書いていきます。
2020年度の社労士試験も後1ヵ月に迫ってきました。
毎年のことですが、社労士試験において法改正はかなり大きな影響があります。
特に2020年度は労基法や健康保険などに重要な改正が行われています。
全てを把握する必要はありませんが、抑えるべき点はしっかり抑えましょう。
まだ確認していない人は要チェックです!!
銀行マンとして社畜しながら資格ブログの運営をしています。
保有資格は社労士、宅建、簿記2級、情報系資格です。
社労士は登録してたまに副業してます。
令和2年司法試験予備試験受験予定です。
2年後までに社畜脱出したい☺
労働基準法の法改正
時間外労働の上限規制
時間外労働の上限規制はすでに大企業に対し、2019年4月より施行されていましたが、2020年4月1日より、中小企業にも施行されることとなりました。
このことにより、時間外労働の上限規制は事業規模を問わず、適用されることになりました。
時間外労働の上限規制の内容はこちらです。
時間外労働(休日労働を含まない)の上限は、月45時間・年360時間となり、臨時的、特別な事情がなければこれを超えることはできなくなります。
臨時的な事情があり労使が同意する場合でも、以下を守らなければなりません。
● 時間外労働が年720時間以内
● 時間外労働と休日労働の合計が月100時間未満
● 時間外労働と休日労働の合計について、「2か月平均」「3か月平均」「4か月平均」「5か月平均」「6か月平均」が全て1月当たり80時間以内
● 時間外労働が月45時間を超えることができるのは、年6か月が限度
上記に違反した場合には罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)が科されるおそれがあります。
【厚生労働省資料参照】
民法の一部改正に伴う時効の期間などに関する改正
時効期間の延長
労働基準法第115条に次のような改正が行われました。
【115条改正前】
この法律の規定による賃金(退職手当を除く)、災害補償その他の請求権は2年間、この法律の規定による退職手当の請求権は5年間行わない場合においては、時効によって消滅する。
労働基準法 参照
【115条改正後】
この法律の規定による賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による災害補償その他の請求権(賃金の請求権を除く。)はこれを行使することができる時から2年間行わない場合においては、時効によって消滅する。
附則143条3項
労基法第115条の規定の適用については、当分の間、同条中「賃金の請求権はこれを行使することができる時から5年間」とあるのは、「退職手当の請求権はこれを行使することができる時から5年間、この法律の規定による賃金(退職手当を除く。)の請求権はこれを行使することができる時から3年間」とする。
労働基準法 参照
賃金請求権の消滅時効が5年(当分の間3年間)に延長されている部分はしっかり覚えておきましょう。
またこの改正は、施行日以降(令和2年4月)に支払期日が到来する賃金(退職手当を除く)の請求権の時効について適用し、施行日前に支払期日が到来した賃金(退職手当を除く)の請求権の時効については、適用はありませんので注意。
付加金の請求を行うことができる期間の延長
付加金の請求を行うことができる期間については、改正前は違反があった時から2年以内でしたが、今回の改正で5年以内となりました。
ただし、経過措置により付加金の請求を行うことができる期間は、当分の間3年以内となっています。(労基法附則143条)
労働者名簿等の書類の保存期間延長
労働者名簿、賃金台帳及び雇入れ、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類(以下「労働者名簿等」という。)の保存期間が「5年間」に延長されました。(改正前は「3年間」)
ただし、経過措置により、労働者名簿等の書類の保存期間は当分の間、3年間とされています。
どれも重要な改正となるためしっかり覚えておきましょう。
労災保険法の法改正
社会復帰促進等事業に関する改正
社会復帰促進等事業において、処分性を有する事業が労災則に明記されました。
細かく言うと、労災法第29条1項1号に掲げる事業(社会復帰促進事業)および同項2号に掲げる事業(被災労働者等援護事業)の内容が労災則に明記されました。
社会復帰促進事業
【労災則24条:新設】
労災保険法第29条1項1号に掲げる事業として、義肢等補装具費の支給、外科後処置、労災はり・きゅう施術特別援護措置、アフターケア、アフターケア通院費の支給、振動障害者社会復帰援護金の支給および頭頸部外傷症候群等に対する職能回復援護を行うものとする。
労災保険法参照
被災労働者等援護事業
【労災則32条:新設】
労災保険法第29条1項2号に掲げる事業として、労災就学援護費、労災就労保育援護費、休業補償特別援護金、長期家族介護者援護金および労災療養援護金の支給を行うものとする。
労災保険法参照
その他の変更として、「時間外労働等改善助成金」について、その名称が「働き方改革推進支援助成金」に変更されています。
択一で出題の可能性は充分あるためそれぞれの用語は確認をしておきましょう。
雇用保険法の法改正
育児休業給付の見直し
育児休業給付に関しては今後財政の悪化を懸念し、失業等給付から独立させてこれに伴う整備が行われました。
条文の改正点を紹介します。
【雇用保険法1条(マーカー部分追加)】
雇用保険は、労働者が失業した場合及び労働者について雇用の継続が困難となる事由が生じた場合に必要な給付を行うほか、労働者が自ら職業に関する教育訓練を受けた場合および労働者が子を養育するための休業をした場合に必要な給付を行うことにより、労働者の生活及び雇用の安定を図るとともに、求職活動を容易にする等その就職を促進し、あわせて、労働者の職業の安定に資するため、失業の予防、雇用状態の是正および雇用機会の増大、労働者の能力の開発及び向上その他労働者の福祉の増進を図ることを目的とする。
雇用保険法参照
【雇用保険法3条(マーカー部分追加)】
雇用保険は、第1条の目的を達成するため、失業等給付および育児休業給付を行うほか、雇用安定事業及び能力開発事業を行うことができる。
雇用保険法参照
※雇用保険法10条でも失業等給付である雇用継続給付から、育児休業給付が除かれています。
細かい改正ですが、雇用保険法1条は、過去に選択式での出題されたことがありますので、必ずチェックしておいてください。
教育訓練給付の改正
教育訓練給付に、新たに特定一般教育訓練に係る教育訓練給付金というのが新設されました。
以下、特定一般教育訓練給付金とします。
特定一般教育訓練給付金を受取ことができる対象者は以下となります。
・支給要件期間3年以上あるもの。
・厚生労働大臣が指定する教育訓練「特定一般教育訓練」を修了したもの。
特定一般訓練給付金の額は次の通りです。
※上限額は20万円で費用が4000円をこえないときは不支給になります。
労働保険徴収法の法改正
高年齢労働者の雇用保険免除の廃止
保険年度の初日において64歳以上である高年齢労働者は、雇用保険料免除とする優遇がありましたが、令和2年4月1に経過措置の廃止に伴い廃止となりました。
一般保険料の計算問題などでは、免除措置のあるなしが関係してくるのでケアレスミスしないように注意です。
健康保険法の法改正
健康保険では被扶養者の定義が改正されています。
主な改正内容は、被扶養者の定義の要件に国内居住要件が追加されました。
国内にいなくても以下の者は国内居住要件があると認められます。
● 外国において留学中の学生
● 外国に赴任する被保険者に同行するもの
● 観光、保養、ボランティアで一時的に渡航するもの etc
国民年金の法改正
国民年金被保険者の定義に関する改正
健康保険法に被扶養者同様、国民年金の第3号被保険者(第2号被保険者の配偶者)にも、国内居住要件が追加されました。
国年法第7条に追加の文言が記載されています。
この変更により、国民年金被保険者ので国内居住要件が必要なのは、第1号被保険者と、第3号被保険者となりました。
第2号被保険者のみ国内居住要件不要と覚えましょう。
国民年金第一号被保険者に係る資格取得届の省略
20歳になったことを理由として、第一号被保険者の資格を取得する場合は資格取得届の省略ができるようになりました。
ただし、住民基本台帳で本人確認ができる場合に限られるため注意は必要です。
法改正の勉強方法、テキスト紹介
私は法改正のテキストとして、毎年社労士Vを購入していました。
↓↓
こちらにその年の法改正が一通り載っているので、目を通しておくといいと思います。
問題演習ものっているので法改正の対策としては充分です。
ただ、一つアドバイスさせてもらうと、法改正については隅々まで勉強する必要はありません。
超重要な法改正については見ておく必要はあると思いますが、それ以外は重視しなくていいです。
というのも、私は受験直前期に法改正の勉強ばかりして失敗した経験があるからです。
模試などで十分点数が合格圏内にある方なら問題ないかもしれませんが、そうでない方は法改正よりもその時間を基礎の勉強や過去問演習に当てましょう。
そっちの方が断然合格の可能性が高まります。
法改正も重要ではありますが、それ以上に重要なものがあると思うのでそちらを重視してください。
法改正まとめ
2020年度の法改正をまとめるとこちらです。
労災保険法・・社会復帰促進等事業
雇用保険法・・育児休業給付、教育訓練給付
労働保険徴収法・・高年齢労働者の雇用保険料免除廃止
健康保険法・・被扶養者の定義改正
国民年金法・・第3号被保険者の定義改正
こちらに挙げているのは、私が個人的に重要だと思うものです。
その他細かい法改正はまだまだいっぱいあるので気になる方はテキストで確認してみて下さい。
本試験まであと少しです。
最後の最後まであきらめずに頑張ってください☺
では、また次の記事でお会いしましょう。
コメント